その男、危険につき 「蝙蝠――――!!!今日こそ私の気持ちに答えてください!!」 「!!ぇねゃじんくづ近に蝠蝙!態変け行ちっあ」 「おまえも来んじゃねえよ白鷺!!」 ぎゃあぎゃあと言い合う、喰鮫、白鷺、川獺。 それを横目で見て、蝙蝠はため息をついた。 (なーんでこいつらは仲良くできねぇかなぁ・・・) その原因が自分だとわかっていても、そう思ってしまう。 (俺はみんなけっこう好きなんだけどなぁ・・・て言うと、誰か一人じゃないと意味ないって言うし・・・) そこで、ぴーんと蝙蝠は思いつき、にやりと笑った。 そして、まだ言い合いをしている、三人のところに行くと、こう言い放った。 「そんなに言い合うんだったら、何か勝負で決めねぇ?」 「「「勝負?(?負勝)」」」 「そう、賞品は・・・」 そこで蝙蝠は言葉をためる。 「俺ってことでどうよ?」 ++++++++++++++++++++++ 「・・・で来てみたけど」 「?だんす動移所場で何」 「まさか修行でもするとか言うんじゃないですよね?」 ここは里の中の森。 よく真庭忍軍が修行をする際に使われる場所であるが、今は四人以外、使っている者がいないらしい。 「きゃはきゃは。だいじょーぶ、ちゃんと考えてあんだよ」 蝙蝠は、ビッと岡の上を指差した。 「あそこにでっかい木が見えんだろ?あそこには赤い木の実が生ってんだ。その木の実を一番最初に持って来たやつの勝ち」 「・・・ないぽっキガ・・・」 「じゃあ白鷺はやんなくてもいいぜ?」 「う・・・」 「それと、所々に俺が罠を仕掛けておいたから気をつけろよ」 「いつのまに・・・」 「まぁ、基本的になんでもありだから、他のやつの邪魔してもいいぞ・・・・あ、程々にな」 邪魔してもいいと言った瞬間、三人の間に不穏な空気が流れたので、あわてて蝙蝠は言い直した。 「んじゃ、そんなんでいいか?」 「あいさ」 「たっかわ」 「了解しました」 「それじゃあ」 足で地面に蝙蝠は線を引く。 「ここが出発線な」 左から喰鮫、白鷺、川獺の順に並ぶ。 「いちについて―――」 白鷺と川獺は走る体制に構える。 喰鮫は腕を組んで、突っ立ったままだ。 「用意――――どん!」 言った瞬間。白鷺と川獺は一歩踏み出して――― ずどん 「「!?」」 二人は線から出た瞬間、落とし穴に落ちた。 「!!いおよ−け近」 「いくらなんでも早すぎるだろ!!」 「あ・・・落とし穴そこだったっけ?」 「「憶えてねーのかよ!!!」」 あまりのことで、白鷺は逆さ喋り拒否。 「そんなことだろうと思いました」 唯一落とし穴に落ちていない喰鮫はひょいっと、落とし穴があるであろう地点をまたぐと、先に走っていく。 「あ!ずりぃ!!」 「ずるくないです。あなた方より私は蝙蝠のことをよくわかっていただけです。」 反論できず二人は黙る。 「やはり、蝙蝠に相応しいのはこのわた――――」 ぴ 「え?」 どっかん 喰鮫が爆発した。 「「えええぇぇぇぇぇぇぇ!?」」 穴を登ってきた白鷺と川獺も驚きの声をあげる。 「あ〜そういえば、どっかに地雷を仕掛けたような・・・」 「「殺す気かぁぁぁぁ!!!」」 「ふふふ・・・」 黒こげになった喰鮫が気持ちの悪い笑顔をする。 「この程度では、私の蝙蝠への愛は変わりませんよ」 だっ 喰鮫は走っていく。 「あ。今のちょっとよかったかも」 「「え!?」」 白鷺と川獺は顔を見合わせると、うおおおお!と穴から出て、立ち上がった。 「!!ぁぁぁかるまたてけ負に鮫喰」 「ぜってえ勝ってやっからな!!」 言って、ふたりも走りだす。 ぴ ぴ 「「あ」」 どっかん 「学習しろよ・・・」 蝙蝠は呆れたように言った。 とりあえず、その後。 三人は対戦したり、蝙蝠の罠に引っかかったりしたが、そこは省略して・・・ 三人はもうゴールの近くにいた。 ちゃんとそれぞれ、木の実を持っている。 もう攻撃する余裕もないのか、必死に走り続ける。 「くっ!負けませんよ、負けませんよ、負けませんよ!!」 「!!るやてっ勝、らた来でまここ」 「ぬおおおおおおお!!!」 追って、追われて 抜いて、抜かれて そして・・・ 「よっしゃあああああ!!勝ったああああああ!!!」 勝者 川獺 「くぅぅぅ・・・・負けました・・・」 「・・・うょしくち」 食鮫と白鷺が悔しがる中、川獺ははしゃぐ。 「蝙蝠!俺が勝った・・・ぞ・・・ん?」 見ると蝙蝠の姿がない。 「?あいつどこに行った?」 きょろきょろと辺りを見回すと、それらしき姿が茂みの反対側に見つけた。 「おーい、蝙蝠そんなところで何し――――」 そこにいたのは蝙蝠だけではなかった。 大柄な男と小柄な男。 蜜蜂と人鳥の最年少組ふたりもいた。 三人は楽しそうに雑談している。 そして周りには何故かたくさんの赤い実 「「「はぁぁぁぁぁ!?」」」 喰鮫、白鷺、川獺の三人は思わず叫んだ。 その声に蝙蝠は気づき、きゃはきゃはと笑う。 「よう。遅かったじゃん」 「こ、蝙蝠それ・・・」 「ん?ああ、これ?蜜蜂と人鳥が採ってきたんだ。けっこう美味いのなこれ」 「・・・はとこう言、て」 「?」 「この勝負に勝ったのは・・・」 「ああ!」 ぽんと蝙蝠は思い出したように手を叩く。 「蜜蜂と人鳥になんな」 「「「えええええ!!!」」」 「んじゃ、賞品やるよ」 「勝ち?」 「しょ、賞品?」 蜜蜂と人鳥はわけがわからず、首をかしげる。 「きゃはきゃは。はい、賞品の俺」 「「え」」 言われた二人は、どう反応したらよいかわからず困っている。 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ 喰鮫、白鷺、川獺の三人が黒いオーラを出しながら、蜜蜂と人鳥に近づいてくる。 「「え?え?え?え?」」 不穏な空気に二人は後ずさる。 「なるほど、あなたたちも、蝙蝠を狙っていたのですね、狙っていたのですね、狙っていたのですね」 「・・・てっがやり乗に子調、ばれいて見に目大てっらかだ下年」 「本当の敵はおまえらってことだな」 じりっとよる三人 「「「覚悟っっっっ!!!」」」 「「いやああああああああ!!!」」 蜜蜂と人鳥の悲鳴が響いた。 「う〜ん。あの三人、窮地に追い込んで、助けあえば仲良くなれると思ったんだけど・・・ま、面白かったし、いっか」 この男、危険につき |