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 大きいとも小さいともいえない小箱を片手に彼は数度ゆっくりと瞬いた。  

「どうかしたんですか?」

 その箱の送り主である彼女は、相変わらずの真意を読ませない顔で小首をかしげた。  

「…………これは、何のつもりだ?」
「見ての通りですが」
「いや、わからんから聞いているのだが」
「では、逆に聞きましょう。今日は何月何日ですか?」
「……二月十四日と記憶しているが……」
「解りましたか?」
「…………何を入れた」
「まずソレを聞きますか」
「当然だ」
「二月十四日にうら若い女が同年代の男性に誕生日と言うわけでもないのにプレゼントを渡しました。その中身なんて、決まっているでしょう?」
「…………毒物か」
「今の答えであなたが私に対してどんなイメージを持っているかわかりました」

 何なら、ご期待通りの物と交換して差し上げましょうか? と邪悪そうな笑みで言われ、男は数度首を横に振った。
 改めて、渡された小箱を見る。
 丁寧にラッピングされたソレは、どうやら手作りのようだ。
 中身はなんだろうと耳元まで持ち上げて振ろうとすると、「私の昨日の苦労を潰す気ですか」と笑顔で言われた。
 どうやら、中身は何か潰れやすいものらしい。  

「さて、何か言うことはありませんか? 蟷螂さん?」
「…………鑢七実。おぬしがわたしにこういうものを渡すとはついぞ思っていなかった」
「それより先に礼の一つも言えないのですか?」
「言って欲しいのか?」
「では、あなたは折角人へ贈り物をしたのに、礼の一つもない所か変な疑いまでかけられて気分がいいんで?」
「……ありがとう」
「最初からそういえばいいんです」

 彼女は緩く微笑む。  

「……で、何のつもりなのだ。只のクラスメイトとしての義理か?」
「いいえ。クラスメイトで作ってきたのはあなただけですよ」
「…………義理か」
「そうであってほしいですか?」

 表情を崩さず、彼女は問う。
 彼は少々考え込むように視線を泳がせると、ややあって軽く息を吐いた。

「わからん」
「そうですか」
「おぬしはどうなのだ」
「そうですね……」

 彼女はわざとらしく考え込むように片手を頬に当てると、ややあって彼へと美しい、が、邪悪な笑顔を向けた。

「来月の十四日までなら、あなたの女になってもいいですよ?」
「……一ヶ月限定か」
「二月十四日のお返しは、三倍返しが基本です。折角ですから、楽しみにしていますよ?」

 三月十四日が楽しみですね。
 そう言うと、彼女は彼の空いている腕を取り、己の腕と絡ませた。
 それは、まるで、恋人同士のように。








 ギリギリなバレンタインフリーです。
 現代パラレルで七蟷ですが。マイナー上等!!(笑