この行為は、ただの同情だ。
 そこに愛情を込めるつもりは海亀には無いし、鳳凰自身もそれを望まないだろう 。
 時折、いっそ憐れなほど総てをその双肩に負いすぎる彼が、ほんの少しだけ泣く 為の、ただの儀式のようなものだ。
 だから海亀は、鳳凰をそういった意味で好きだとも、愛しいとも思ったことは一 度もない。
 酒には滅法強い海亀が、酒は好むが特別強くも弱くもない鳳凰と、行為の前に飲 み比べの様に酒を酌み交わす理由は、相手が酔ってしまった方が早く箍が外れる からと言う点でやりやすいからだ。
 尤も、出来ることなら酔い潰れて寝てくれるのが、一番楽ではあるのだが。


「酷いな。海亀どのも嫌いではないと思っていたのだが、買い被りすぎていまし たかな?」
「当たり前じゃ。わしとて、どうせ抱くなら女子がいいわい」
「正論ですな」
「なら主もわしなんぞ相手にしとらんで、一人や二人、引っ掛けてこい。主なら 女子の方からついてくるじゃろ」
「さぁ、それはどうでしょう」


 クスクス笑う鳳凰の顔は、平常よりも大分朱に染まっている。
 彼らの座る畳の上には、空の一升瓶が転がっていて、その約七割が鳳凰の腹の中 に納まっているのだから、酔っていて当然ではあるのだが。
 だが、少しおかしいとも海亀は思う。
 普段なら、ここまで無茶な飲み方をするような奴ではなかったのだが。
 何かあったのか……そんな野暮な事を聞くような甘い仲ではないけれど。
しな垂れかかるように身体を預けてくる鳳凰の長い髪を掴み上げ、視線を合わせ る。
 酒気を帯た者特有のトロリとした細い目が、微かに潤んでいる。
 ああ、この潤みを取り払いたいが為だけに、自身を晒し、自分を使うのだなと思 うと、その首に愛刀を突き刺したくなった。
 首とは言わなくとも、その両手を重ねて畳に縫い止めてしまおうかとも本気で思 ったが、結局実行には移さずに、海亀はそのまま鳳凰に口付けを許す。
 酒の味がする熱い舌に搦め捕られるままに、深く深く口付けると、首に冷たい手 が回ってきた。
 薄く目を開けると、先程と同じ、トロリとした目と目が合った。
 こやつめ、目を開けていたのかと思うと、少しばかりムカつく。
 まあいい。コレは全て加虐心に変えてやろう。
 あちらもそれを望んでいるはずだ。
 乱暴に畳の上に組み敷いてやると、目が微かに笑っていたのが、その証拠。
 さて、仕方が無い。憐れな被虐趣味者の為にさっさと済ませてやるか、と、海亀 はその首に噛み付いた。









 ま さ か の 海 鳳 !!
 マイナーどころか、新天地な気がします……えっと、携帯で書いていたのをすっかり忘れていまして……恥さらしにアップ。
 異様に短いのは、実は続きでエロも書いていたからなんて言えない……!! 僕にエロはスキルが高すぎる!! しかも腕にキスしてねぇ!!(大失態